・風の扉、深く
『工房からの風』は、野外クラフト展ではありますが、
所謂「クラフトフェア」とは趣が違うように思います。

(『工房からの風』2009 風景より)
出展が決まり、10月に向けて扉が開くと、
秋の両当日に向かって、
自身の手の中にある手仕事を見つめ、問い、考え、手を動かし...
時に広い 々 湖に漂う落ち葉のように
孤独であったり、不安であったりもするのですが、
全国各地のひとつひとつ異なるジャンルの工房で、
同じように過ごす一人一人が、
繋ぎ、渡して下さる『工房からの風』に誘(いざな)われるかのように
気づけば響き合い志高く、めざす秋の実りを信じて歩き出している。
初めて出展したのは、2009年のこと。
(『工房からの風』は一度出展が叶うと2年応募資格が巡ってきません。
こちらも『風』特有の配慮なのです。)
今年、2019年の出展で4回目。
こんなに背筋が伸びつつも、温かいと感じる『風』に
ご縁を戴いてから10年です。
なんかあっという間ですし、毎回新鮮にすごく緊張もします。
でも、初回の唯々飲み込まれるばかりのような頃に比べたら、
少しは周りを愉しめるようにもなっています。
『工房からの風』は、
ー 新鮮な作り手たちは果実のように生まれてきます。
その手から作られるかたちは、必要な用途からふくらみ、
時代の感性が美しいと呼び寄せたものが使い手に響き、
暮らしの中で息づいていきます。ー(引用)
とあるように、新人作家の登竜門とうたわれる場面もあるのですが、
今では、そこを通った作家に再び扉が開き、
ー 進化した姿でご一緒できますこと、感謝しています。ー
と迎えて下さいます。
前回出展の2016年から、私の手に成る灯りは進化できているのでしょうか。
「進化」ということを思えば、正直もう少し時を重ねたい気持ちもある今年ですが、
前回よりなにも進んでいないわけではないとも思う。
今展のテーマは、陰陽五行の「火」です。
他の心に種火を灯し続けている様々なジャンルの方と同様に、
私の手作業も「火」と共にあり、
そして使い手の方の元に「火」を届けることができる。
改めて... なんてすてきなものづくりなんだ、と思います。
「火」がテーマの回に巡り合わせて頂いたことには、
漠然とですが、なにか意味があるようにも思えて過ごしてきました。
「進化」というよりは、きっと今の状況は、
ものごとを深める「深化」の時であったり、
ぶれず芯にあるもの...を見つめる「芯化」の時のように感じています。

(『工房からの風』2012風景より)
50程の工房から届く手仕事を、
灯りを、
多くの皆さんに観て触れて戴くことができたなら。
手仕事の庭から分けて戴いた綿は、
毎年我が家でも花を咲かせ、たわわに成った実が弾けます。
・・・ ・・・
『工房からの風craft in action 2019』
2019/10/19.20(土.日)
ニッケコルトンプラザ屋外会場
10:00~16:30